Tel Aviv,Israel
2年前になるからもういいだろう。それは今年の日本以上に暑い季節だった。6月から8月にかけてイスラエルを一月半撮影していた時だ。テルアビブからエイラートまで国内便で移動しようとした。チェックイン時に恒例のインタビュー。イスラエル行きの飛行機にチェックインする時や、国内便に乗る時も、隣国エジプトやヨルダンから陸路で入国する時も、パスポートを見ながら15分、場合によっては1時間近くもインタビュー(というより尋問に近い)されるのが普通だ。名前や職業から始まり、何しに来たとか、宿泊先のホテルから何処で何をしたとかまで聞かれるのだ。私は意外にすんなりと終わった。しかし、同行のライター氏のパスポートにイスラエルとは問題を抱えるパキスタンとイランのスタンプがあったため、私も再尋問されることになってしまった。ライター氏と二人別室に連れて行かれた。
別室には一人ずつ入る。荷物を全てスーツケースから出してエックス線検査。次に両腕を頭の後ろで組まされ、ズボンを降ろされた。パンツと靴下は履いたままだ。ボディチェックをした後、イスラエルの歌を知っているか?と突然。ん?何??自分の耳を疑った。検査官は私を和ませようとしているのか。エニィ・ジューイッシュ・ミュージック・ユー・ノウ?ユダヤの歌を知っているか?と彼は繰り返した。オフラ・ハザは知っているが彼女の歌は歌えない。日本でもおなじみのフォークダンスの曲、「マイムマイム」はポーランド人がイスラエルの共同体キブツで作曲したということだが、イスラエルの民謡と言われてたから、「マイムマイムマイムマイム、マイムベッサンソン♪」と歌った。しかしこの体勢で歌わせるのか???
Eilat,Israel
一通り検査を終えた彼の決断は、「君たちのPCを他の施設に送って詳しく検査しなければ渡せない。拒否するなら飛行機には乗れない」と。これまでの検査は何だったのか。飛行機に乗れても、データのバックアップ等があるからPC無しでは仕事にならない。私たちは諦めて搭乗を拒否した(実際に乗る予定の便はもう離陸していたかと思う)。
その日はシャバットと呼ばれる安息日だった。多くの商店は休み、交通機関も便数が極端に減ったりする。空港からバスターミナルへのタクシーには足元を見られ、値段交渉の余地無しで着いたバスターミナルから、エイラート行きのバスは終わっていた。明日は大使館から案内をお願いしていた人と合流する予定で、今日中にエイラートへ行くしかなかった。残された手段は、パレスチナ人の白タクを交渉するしかない。ライター氏と演技して、高い、払えない、だめだ、後が無い…などと揉めるふりをしながら、交渉はまとまった。白タクは途中のガソリンスタンドで一度休憩し、ホテルの入り口まで飛ばしてくれた。快適な移動だった。
Eilatに着いた私たちは、ジンジャーという店でアジア料理を食べたのでした
今年の日本は、厳しい暑さがまだまだ続きそうだ。
残暑お見舞い申し上げます。